2018年10月24日水曜日

新著刊行『エドゥアール・マネー西洋絵画史の革命』(KADOKAWA, 2018)

[三浦篤]

 長年、まとめたかったマネ論を最近ついに刊行することができた。別個に考えているマネに関する本格的な研究書(作品研究を中心としたもの)とは違った内容で、研究書と美術評論の両方の要素を含んでいる。いろいろな事情もあり、この問題提起的なマネ論を先に世に出すことになった。
 問題提起的と言ったのは、マネに関する見方と歴史的な位置づけに力点を置いているからで、個々の問題を厳密に論証することを主眼に置く書物ではないからだ。イメージを自在に操るというか、過去のイメージを自由自在に組み合わせ、大胆な色彩と筆触で現実を表現する手法で西洋絵画を更新したこの画家は、21世紀までつながる絵画革命を19世紀後半のパリで敢行したと見える。
 詳しくは本書を読んでいただくしかないが、マネを軸に西洋絵画史をたどり直そうという試みは、書いていて大変楽しかったし、筋は通っていると思う。それだけのポテンシャルを持っているのだ、マネという画家は。
 これを機に長らく休んでいたブログも再開したい。9月から10月にかけて怒濤のごときイヴェント続きだったことについては、次回またお話ししよう。