[三浦篤]
少し前のことになるが、5月16日から21日まで、フランクフルトでエコール・ド・プランタン(春のアカデミー)に参加した。欧米主要大学の美術史系教授連のフレンドリーな関係に基づいてセレクトされた大学院生を、毎年1回1週間集めて発表させるこのユニークな催しについては、かつて
別のブログで紹介したことがある。昨年のフィレンツェ大会には私が日本から初めてゲスト参加したが、今年は発表する若手研究者2名を
フランクフルトに引き連れて行ったことも報告している。
フランクフルト大学で行われた今回の大会は、発表もさることながら(むろん発表者によってレベルの差があったのは確かだが)、日を追う毎にヒートアップしていく質疑応答もなかなかのもので、高速の議論についていくのは正直大変だった。英仏独伊語が公用語で、ほとんどの学生は自分の母国語で発表し、外国語でも質問を受けることになるのだが、次第に英語中心になっていくのは最近の情勢から致し方なかったか。ただし、日本人学生はここでは必然的に外国語での発表と質疑応答になるから、最初から二重のハンディキャップを負っているわけで、これは学問的に欧米圏に打って出るためには何とか乗り越えなければならない壁となる。今さら繰り返すまでもないことだが、最低、英語ともう一カ国語の運用能力をとにかく高めることが必須と言える。今からでも決して遅くはない。