[三浦篤]
7月8日のお昼に青森空港に降り立つと、急ぎタクシーで青森県立美術館に向かう。気鋭の建築家青木淳さんが設計したユニークな建物が目の前に現れたが、まず入口がどこか分かりにくい。中に入っても、空間が入り組んでいて、迷子になりそうだった。でも、地下の展示空間は圧倒的な存在感があり、その一角に「光を描く印象派展」が設えられていた。
震災の危機を乗り越えて実現した展覧会で、三村知事、高山館長、朝日新聞社以下、多数の関係者にとって感激もひとしおであることが、式典、パーティーなどを通じて痛いほど感じられた。私も日本側の監修者として、カタログ制作などお手伝いし、院生たちも協力してくれたが、その苦労話は敢えて記さない。無事にオープニングを迎えて、本当に良かったと思う。青森初の印象派展なのだから。
青森県美のスタッフが力を尽くした展示は良くできていて、これは一見の価値がある。印象派絵画に関して、科学的調査の成果をここまで総合的に見せてくれる展覧会は、日本では今まで行われなかった(朝日新聞7月6日朝刊、『サライ』7月号で見どころを解説)。本展の基になった展覧会がケルンのヴァルラフ=リヒャルツ美術館で2008年に行われており、作品の科学的調査の結果が
インターネットで公開されているので、興味のある方はどうぞ。私個人はマネの描くアスパラガスが見られて感動。8月14日(日)に講演会を頼まれているので、再び青森行きです。